2020年5月10日日曜日

『最強のデータ分析組織〜なぜ大阪ガスは成功したか〜』を読んで

『最強のデータ分析組織〜なぜ大阪ガスは成功したか〜』を読んだ。
私の部署の仕事とかなり似ているので大いに参考になった。以下、メモ。

  • ミッション:データ分析で社内の意思決定プロセスを改革する。
  • 1年に30件 9人で各自2~4の案件を対応。
  • オフィスに齧りつかない。「使わせる力」を発揮するためには現場に赴く。
  • 「業務改善」でなく「業務改革」を目指す。
    • 両者の違いは(意思決定)プロセス自体を変えるか変えないか。
    • 同じプロセスでその中のタスクを効率化するだけでは業務改善。
  • 分析結果がどのように会社に役に立つかを常に意識する。
  • 分析方法へのこだわりを捨てる。
  • データ分析は手段であり、最終目的はビジネスに役に立つこと。
【その他】
  • 投資を担当する部署がデータ分析をすると投資する方向にバイアスがかかりやすい
    • ニュートラルに判断できる部署で分析するほうが望ましい。



2020年4月26日日曜日

「数理で読み解く科学の世界」に参加してみた

 理研の「数理で読み解く科学の世界」というイベントが面白そうだったので参加してみた。

 通常は集合形式なのだそうだがコロナの影響でzoomでのリモートでの実施となったそう。普段は30名程度なのがリモートにすると800名程度参加したとのことなので怪我の功名といったところか。

 内容はとても面白かった。知らなかったこと、知ってたつもりでもキチンと理解できてなかったことが色々。以下に備忘のためにメモ。

ブラックホールに入ったリンゴはどこへ行く?

  • 重力はどうやって物体と物体の間を伝わるのか?
    • 一般相対論:質量によって時空が歪むことによって引かれる。
  • アインシュタイン方程式(TODO)
    • 時空の歪み具合と物質のエネルギーを結びつける方程式
    • 両者が結びつくということは時空も物質と同じ物理的な対象であることを意味している。つまり時空は箱(普遍なもの)ではない。そして時空は物体と相互作用している。
  • ブラックホールは、星が重力崩壊して生まれる。
  • 古典ブラックホール
    • 一般相対論上では、無限に小さい領域に無限のエネルギーが集中している点。
    • しかし現実世界として無限小の空間に無限大に集中するってのは考えられない。そのため一般相対性理論が破綻している領域と考えられる。つまり新たな理論が必要→量子力学
  • 量子力学
    • ミクロの世界を記述する理論
    • 量子は粒子と波の性質の両方を持っている。
    • 物質の状態は揺らいでいる。
    • 状態が重ね合わせの状態をもつ。
    • シュレディンガー方程式:状態がどのように時間発展するかを記述。(ニュートン方程式のミクロ版)
i\hbar {\frac {d}{dt}}|\psi (t)\rangle ={\hat {H}}|\psi (t)\rangle \,.

  • ブラックホールが蒸発
    • 真空状態=粒子が「ある」と「ない」の状態の重ね合わせ。
    • 重力が大きく変化すると粒子が真空から生まれることがありえる。
    • ブラックホールのホライズン付近(外側)の真空の量子的な揺らぎによって光を出している。(ホーキング輻射)
    • 光(エネルギー)を出しているってことはブラックホールの質量が小さくなっていく(E=mc^2)。最終的には全て蒸発する。ただし太陽の質量のブラックホールで10^6年かかる。
  •  一般相対論と量子力学を同時に考慮しながらブラックホールの動力学を解くと粒子はホライズン内に入らないらしい。
    • ホライズン近くに入ると時間が進むのがゆっくりとなり、その間に蒸発してホライズンが後退するイメージ。
  • その他
    • 人間の重さ程度でも時空が歪んでることを実際に観測できる!

量子コンピューター

  • 量子ビットはジョセフソン接合のある超伝導体
    • 輪っかの一箇所に凄く狭い切れ目が入っていてその切れ目がコンデンサー的な役割になる。
    • 一種のLC回路となっていて電気振動する。右回り電流と左回りの電流で振動。
    • 極低温に冷やすと量子効果が現れるて超電導状態となる。すると右回りと左回りの重ね合わせ状態になる。

2018年8月26日日曜日

とりとめもないけれど・・・

2018/8/16付の日経のコラム「春秋」で、白洲次郎が彼のエッセー内で
GHQの大部分の人々について「無経験で若気の至りとでも言う様な、幼稚な理想論を丸呑(の)みにして実行に移していった」。はじめて化学の実験をした子どもが試験管に色々な薬品を入れて面白がっていたようなもの
といったGHQへの辛辣な記述をしていた、というようなことが触れられていた。

池上彰の現代史講義内の「カンボジアの悲劇」の講義を聞いた時、かのカンボジアの混乱の根本原因は、「CIAまたは政府の新人担当者が考えてみました!的な、大国アメリカの深謀遠慮というのとは程遠い施策にカンボジアが振り回された所にあるんだなー」と感じたけど、まさにそれが白洲次郎と同じ感覚だったんだろうな。

2018年8月5日日曜日

「記号創発ロボティクス」を読んで。

記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門」(著:谷口忠大)を読んだ。

ロボット上に知能を創り出そうと取り組む一連の研究についての解説である。読み進めているうちに、「人間の知能(または心)」とは何かということについて捉え直させられて非常に面白かった。

例えば、人間は生まれた当初は単語を何も知らないのに、単語の明示的な区切無しに連続して発音される発話の中から、いつしか人間は自然にその発話の中から単語を抽出しその単語が示す意味を理解するようになる。今まで深く考えたことなかったけど確かに不思議。

このような能力を身につけられることの理由の一つを示した研究の例が示されていた。

英語の「不思議の国のアリス」の文章から全てスペースを取り除いて、連続的な文字列の中から教師なしの機械学習で単語に分割することに成功したという。つまり言語そのものの中に、単語を区切るヒントが存在していることを示しているということだ。そんなこと思ってもいなかったので目からうろこだった。

また、人間が記述的な説明をしなくてもコミュニケーションが取れることに関するトピックの中で以下のような話があった。
そもそも、言語的なコミュニケーションとは言語により厳密に伝達内容を記述し、それを他者へ送信する行為ではない。むしろ、他者から発せられたサインとしての記号列へ解釈者が能動的に意味付けを行う創造的な過程である。
なるほどなと思う。例えば「それ」という単語(サイン)を伝達するけれど、「それ」に「机の上の醤油」という受け手が意味づけを能動的に行うことにより「それ取って」というやり取りが可能になりコミュニケーションが円滑になっている。
単語(サイン)と「そのサインが指し示す対象」の紐付きは決して人類共通ではない。人それぞれ、または状況によって動的に変わるものだということ。

おそらく「りんご」という単語一つとっても、それは人それぞれ微妙に違うはずだ。例えば、一般的な林檎を思い浮かべる人もいれば、今目の前にある机の上の特定の林檎を思い浮かべる人もいるだろう。そのような単語(サイン)と「そのサインが指し示す対象」の紐付き、つまり「記号」が、ある程度揺らいだ世界(システム)の中で、人間はコミュニケーションを行っている。

そのことを端的に上手く、以下のように書いていた。
個々の主体が環境との相互作用を通して概念を形成し、分散的にコミュニケーションする。この分散的なコミュニケーションを実現するために、また、そのコミュニケーション実現の努力を通して記号系がボトムアップに形成される。そしてこの記号系が個々のコミュニケーションを実現すると共に制約するのである。 このミクロマクロループを内在させ、記号的コミュニケーションを創発するシステムを記号創発システムと呼ぶ。

あまりまとまりのない感想文になってしまったけど、 とにかく面白かった。また読み直してみたいと思う。

2018年7月22日日曜日

中東問題の発端と経緯

さすが池上彰。池上彰の現代史講義を見ていて中東(パレスチナ)問題の歴史が凄く分かりやすかったので経緯を簡単にメモ。


  1. そもそもは約2,000年前ほどは現在イスラエルがあるところにユダヤ人王国があった。それはちょうどイエス・キリストが生きていた頃。そしてキリストはユダヤ人によって処刑される。
  2. 怒ったローマ帝国がユダヤ人王国を制服する。ユダヤ人は世界中で散り散りになる。ユダヤ人はキリストを十字架に掛けた民族として差別され続ける(※1)。
  3. 差別の延長線上で第二次世界大戦でナチスドイツのユダヤ人狩りに。600万人が殺される。
  4. 第二次世界大戦後、世界の同情を集めてユダヤ人の国を作る運動が盛り上がる。
  5. 国連の調整のもと、2,000年前に住んでいたパレスチナの地にユダヤ人の国(イスラエル)を建国へ。ただし国連は、エルサレムに関しては、3つの宗教(キリスト教/ユダヤ教/イスラム教)の共通の聖地になっているので、特定の国の土地ではなく「国際管理土地」という位置付けにした(※2)。
  6. でもパレスチナの地域は2,000年の長きの時間の中でアラブ人(イスラム教徒)が住み着いていた。だからイスラエル建国は不満。
  7. イスラエル建国宣言の翌日に周辺のイスラム国家がイスラエルに攻め込む。(第一次中東戦争)
  8. この戦争はイスラエル側が勝ったのでさらにアラブ人側は土地を失い、ガザ地区とヨルダン川西岸のみの土地のみになる。アラブ人側の難民が増える。パレスチナの土地を取り戻したい人々がPLO(パレスチナ解放機構)を結成。



(※1)差別の対象なので、卑しい職業しか就けない。その一つが金貸し(金融業)。だからユダヤ人は金融業界に今も強い。
(※2)だから各国のイスラエルの大使館は全てテルアビブに置いていた。でもアメリカのトランプ大統領が「アメリカ大使館をエルサレムに移動させる」と宣言して(そして実際に移動させて)、世界各国から避難があったのは記憶に新しいね・・・。

2017年6月25日日曜日

応仁の乱とは何だったのか?

 応仁の乱。日本史でも習うし、京都の人に「先の大戦は?」と聞くと第二次世界大戦ではなく応仁の乱と答える、といったジョークなんかもある。でも結局どういうものなのかイマイチよく分からない。なので少し調べてまとめてみた。

■発端は何か?
 足利義政(銀閣寺を作った人)の為政者としての無能っぷりが発端。そもそも義政は政治なんかしたくなかった様子。政治から逃げるために(この時点で義政に子供がいなかったので、代わりに)実弟の足利義視を後継にすると約束した。タイミングが悪い事にこの3ヶ月後に義政の正室である日野富子に男の子(足利義尚)が生まれる。
 義視を次期将軍にしたい義政と、義尚を次期将軍にしたい日野富子の争いが発端。

■誰と誰が戦ったのか?
 実はこの基本的な事が簡単ではない。それこそが応仁の乱を分かりにくくしているのだと思う。先に書いた発端でこの戦が始まったので、最初は

  •  西軍:日野富子、足利義尚、山名宗全(義尚の後見人)、大内政弘
  •  東軍:足利義政、足利義視、細川勝元(義視の後見人)

のような構図で戦っていた。
 しかし西軍優勢の状況になると、東軍大将の任を受けていた足利義視が西軍に寝返る。それに怒った義政が義視の次期将軍の権利を剥奪して、西軍の義尚を次期将軍として指名する。これにより、敵味方がすっかり入れ替わり

  •  西軍:足利義視、山名宗全(義尚の後見人)、大内政弘
  •  東軍:足利義政、日野富子、足利義尚、細川勝元(義視の後見人)

の構図で戦いが進む。
 この時点で義政と日野富子の利害は一致して将軍後継者争い自体は終結し、しばらくして義尚が正式に9代将軍に任命される。

■それでも終わらない戦い
 発端の後継者争いが決着して義尚が正式に将軍に就任したものの戦いは終わらない。
 戦いを率いていた山名宗全も細川勝元もこの頃には既に亡くなって明確なリーダーもいない中、戦いが全国に広がり様々なしがらみが生まれて、東軍も西軍も戦を止めるに止められない状況になっていた。これが約12年の間、泥沼のように続く内乱になっていく。

■終結
 日野富子の政治手腕がこの内乱を収束させていく。
 長引く戦で京都の町も荒廃し、当事者たちもお金が底を尽き、誰もがこれ以上の戦いを望んでいない状態だった。
 それでも戦争が続いているのは、敵方西軍の有力者である大内政弘が敗戦濃厚となっているにも関わらず京都に居座って戦を続けていたから。大内義弘は敗戦して撤退すれば領土も失い官位も剥奪されるため退くに退けずいた。それを見抜いた日野富子は天皇に直訴して領土や官位をそのままにするよう計らう。それにより大内政弘が京都を離れ、事実上の終結を迎える。

■戦国時代へ
 この内乱は足利将軍家の時代の終わりのはじまりとなり、各大名の台頭とそれらの争いの時代、つまり戦国時代へと移り変わっていく。


 明確なリーダーがいない、退くに退けずに小競り合いが続いて泥沼化など、中東問題やパレスチナ問題やらに通じるものがあるなー、と思う。現代にも日野富子みたいなリーダーが出てくれればと願う。トランプさんはそんなこと全く興味はないだろうしそんな期待はできないな。トランプに敗れたヒラリーさんはこのような手腕を発揮してくれただろうか。応仁の乱を調べてみてそんなことを考えさせられた。

ドラッカーの「プロフェッショナルの条件」を読んで

京都に引っ越す際に荷物をまとめていたら、昔読んだドラッカーの「プロフェッショナルの条件」が出てきたので再読。

「成果をあげるには?」ということに焦点を当てたこの本。まだ前半だけしか読んでいないけど、やっぱりドラッカーはいろんな気づきを与えてくれると思った。

一番の気づきは、「成果をあげる能力は才能ではなく、習得できる技能であるということ。成果をあげるための習慣を身につけさえすればいい。そして習慣は反復して習得していくもので九九を暗唱するように条件反射でできるようになることが必要。決して卓越した能力が必要ではない、成果を上げるための並みの能力があればよい。」ということ。

そしてその習慣とは、「組織の目的を明確にすること。その目的を達成するために何に集中するべきかを明確にすること。」

後半も引き続き読んでいく。