2011年8月27日土曜日

江成常夫「昭和史のかたち」展をみて

無計画に入った、東京都写真美術館で催されていた掲題の写真展がよかった。

終戦後に開発され尽くした東京では残っていない戦争の形跡が、東南アジア(インドネシア・パラオ・フィリピンなど)や中国、そして沖縄にはそれらが未だに残っていることを、この展覧会の写真たちは伝えてきた。

戦死者の遺骨、ゼロ戦や爆撃機の残骸、飯盒や洗面器などの旧日本兵の日用品などが未だに野ざらしにのまま放置されていたりした。

地域が違えば、時間の進む速度も変わる。東京は世界で最もその速度が速い地域の1つだろう。そしてそこにはもはや戦争の形跡は時間とともにかき消され、その結果、人々の心からも戦争の記憶が薄れていく。

でも一方で、時間の進み方が遅い地域ではいまだに形跡が消えずに、また人々の心からも消えずに残るのだ。

追伸

あと、もう一つこの展覧会をみて「面白いな」とおもったのは、汚いもの(オイルの漏れ出したあと)なども、真正面から捕らえると、そこに美を見出すことができると気付かされたこと。