2013年3月28日木曜日

猿でも分かるモンティ・ホール問題

最近、モンティ・ホール問題に関連することに何度か出くわした。一つは映画「ラスベガスをぶっつぶせ」。主人公の論理的思考を試すために、この問題が出題される。2つめは知識botでこのキーワードが紹介されていた。
そろそろ自分の中でもこの問題について整理するべきなのだろうと考えて、「サルでも分かるモンティ・ホール問題」としてポストする。


■■モンティ・ホール問題とは?
確率論の問題の一つで、アメリカのTVショーで行われていたゲームが発端となった。具体的には以下のような問題だ。
  1. ドアが3つある。その中の一つのドアが当たりで、残りがハズレ。
  2. 挑戦者は、これらのドアのうち1つを選択する。
  3. 司会者は、残った2つのドアからハズレのドアを1つ開ける。
  4. さて、この時挑戦者が当たりを引きたければ、選択したドアを変更するべきか?

 この問題、直感的には、ドアを変更してもしなくても確率は同じと思ってしまう。しかし、論理的には「ドアを変更するべき」が答えだ。

以下に、

  1. ケースを網羅して確率を出す
  2. ベイズの定理を応用して確率を出す

の2つの方法で、論理的に答えを出してみる。

■■1.ケースを網羅して確率を出す
3つのドアをA、B、Cと名付ける。上記の問題のステップ1と2までで起こり得る全てのケースとその確率を列挙すると、以下の表のようになる。

次に、ステップ3の司会者がドアを開けるケースとその確率を上の表に追記すると以下の表になる。

上記ケースのうち、

  • 挑戦者が最初の選択したドアを変更して当たりを引くケースは3、4、5、8、9、10で、確率の合計は「2/3」
  • 挑戦者が最初の選択をしたドア変更せず当たりを引くケースは、1、2、6、7、11、12で確率の合計は「1/3」
そのため、挑戦者は「ドアを変更したほうがよい。」という結論になる。


■■2.ベイズの定理を応用して確率を出す
ベイズの定理についての詳しい解説は、Wikipediaに譲る。
モンティ・ホールの問題は結局のところ、司会者がドアを開けた後、残りのそれぞれのドアが当たりとなる「事後確率」を求める問題だ。

モンティ・ホール問題 を解くために、ステップ2で、挑戦者はAのドアを選択し、司会者がBの扉を開けた状況を前提に話を進める(※)。この場合、「挑戦者はドアを変更するべきか?」の問いは、即ち、Bを開けた後にAが当たる事後確率「P(A当|B開)」とCが当たる「P(C当|B開)」を計算し、比較すればよい。

ベイズの定理より、
P(A当|B開) = P(B開|A当)P(A当)/P(B開)なので、左辺の各確率を求めていく。


  • P(B開|A当)・・・Aが当たりなら司会者はハズレであるCとBのどちらか扉を等しい確率で開けるため、1/2。
  • P(A)・・・Aが当たりの確率は1/3
  • P(B開)・・・P(B開)=P(B開|A当)*P(A当)+P(B開|B当)*P(B当)+P(B開|C当)*P(C当)=1/2*1/3+0*1/3+1*1/3=1/2  (※2)


同様に、P(C当|B開)=P(B開|C当)P(C当)/P(B開)を求めると、1*(1/3)/(1/2)=2/3

よってP(C当|B開) > P(A当|B開)なので、挑戦者は「ドアを変更したほうがよい。」という結論になる。


(※)他の場合も同様に考えることができる。
(※2)P(B開|B当)は、Bが当たりなら司会者は扉を開けないためゼロになる。また、P(B開|C当)はCが当たりなら、Aはすでにあけられているため、司会者は残るBを開けるしかないため確率は1になる。