2018年8月26日日曜日

とりとめもないけれど・・・

2018/8/16付の日経のコラム「春秋」で、白洲次郎が彼のエッセー内で
GHQの大部分の人々について「無経験で若気の至りとでも言う様な、幼稚な理想論を丸呑(の)みにして実行に移していった」。はじめて化学の実験をした子どもが試験管に色々な薬品を入れて面白がっていたようなもの
といったGHQへの辛辣な記述をしていた、というようなことが触れられていた。

池上彰の現代史講義内の「カンボジアの悲劇」の講義を聞いた時、かのカンボジアの混乱の根本原因は、「CIAまたは政府の新人担当者が考えてみました!的な、大国アメリカの深謀遠慮というのとは程遠い施策にカンボジアが振り回された所にあるんだなー」と感じたけど、まさにそれが白洲次郎と同じ感覚だったんだろうな。

2018年8月5日日曜日

「記号創発ロボティクス」を読んで。

記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門」(著:谷口忠大)を読んだ。

ロボット上に知能を創り出そうと取り組む一連の研究についての解説である。読み進めているうちに、「人間の知能(または心)」とは何かということについて捉え直させられて非常に面白かった。

例えば、人間は生まれた当初は単語を何も知らないのに、単語の明示的な区切無しに連続して発音される発話の中から、いつしか人間は自然にその発話の中から単語を抽出しその単語が示す意味を理解するようになる。今まで深く考えたことなかったけど確かに不思議。

このような能力を身につけられることの理由の一つを示した研究の例が示されていた。

英語の「不思議の国のアリス」の文章から全てスペースを取り除いて、連続的な文字列の中から教師なしの機械学習で単語に分割することに成功したという。つまり言語そのものの中に、単語を区切るヒントが存在していることを示しているということだ。そんなこと思ってもいなかったので目からうろこだった。

また、人間が記述的な説明をしなくてもコミュニケーションが取れることに関するトピックの中で以下のような話があった。
そもそも、言語的なコミュニケーションとは言語により厳密に伝達内容を記述し、それを他者へ送信する行為ではない。むしろ、他者から発せられたサインとしての記号列へ解釈者が能動的に意味付けを行う創造的な過程である。
なるほどなと思う。例えば「それ」という単語(サイン)を伝達するけれど、「それ」に「机の上の醤油」という受け手が意味づけを能動的に行うことにより「それ取って」というやり取りが可能になりコミュニケーションが円滑になっている。
単語(サイン)と「そのサインが指し示す対象」の紐付きは決して人類共通ではない。人それぞれ、または状況によって動的に変わるものだということ。

おそらく「りんご」という単語一つとっても、それは人それぞれ微妙に違うはずだ。例えば、一般的な林檎を思い浮かべる人もいれば、今目の前にある机の上の特定の林檎を思い浮かべる人もいるだろう。そのような単語(サイン)と「そのサインが指し示す対象」の紐付き、つまり「記号」が、ある程度揺らいだ世界(システム)の中で、人間はコミュニケーションを行っている。

そのことを端的に上手く、以下のように書いていた。
個々の主体が環境との相互作用を通して概念を形成し、分散的にコミュニケーションする。この分散的なコミュニケーションを実現するために、また、そのコミュニケーション実現の努力を通して記号系がボトムアップに形成される。そしてこの記号系が個々のコミュニケーションを実現すると共に制約するのである。 このミクロマクロループを内在させ、記号的コミュニケーションを創発するシステムを記号創発システムと呼ぶ。

あまりまとまりのない感想文になってしまったけど、 とにかく面白かった。また読み直してみたいと思う。

2018年7月22日日曜日

中東問題の発端と経緯

さすが池上彰。池上彰の現代史講義を見ていて中東(パレスチナ)問題の歴史が凄く分かりやすかったので経緯を簡単にメモ。


  1. そもそもは約2,000年前ほどは現在イスラエルがあるところにユダヤ人王国があった。それはちょうどイエス・キリストが生きていた頃。そしてキリストはユダヤ人によって処刑される。
  2. 怒ったローマ帝国がユダヤ人王国を制服する。ユダヤ人は世界中で散り散りになる。ユダヤ人はキリストを十字架に掛けた民族として差別され続ける(※1)。
  3. 差別の延長線上で第二次世界大戦でナチスドイツのユダヤ人狩りに。600万人が殺される。
  4. 第二次世界大戦後、世界の同情を集めてユダヤ人の国を作る運動が盛り上がる。
  5. 国連の調整のもと、2,000年前に住んでいたパレスチナの地にユダヤ人の国(イスラエル)を建国へ。ただし国連は、エルサレムに関しては、3つの宗教(キリスト教/ユダヤ教/イスラム教)の共通の聖地になっているので、特定の国の土地ではなく「国際管理土地」という位置付けにした(※2)。
  6. でもパレスチナの地域は2,000年の長きの時間の中でアラブ人(イスラム教徒)が住み着いていた。だからイスラエル建国は不満。
  7. イスラエル建国宣言の翌日に周辺のイスラム国家がイスラエルに攻め込む。(第一次中東戦争)
  8. この戦争はイスラエル側が勝ったのでさらにアラブ人側は土地を失い、ガザ地区とヨルダン川西岸のみの土地のみになる。アラブ人側の難民が増える。パレスチナの土地を取り戻したい人々がPLO(パレスチナ解放機構)を結成。



(※1)差別の対象なので、卑しい職業しか就けない。その一つが金貸し(金融業)。だからユダヤ人は金融業界に今も強い。
(※2)だから各国のイスラエルの大使館は全てテルアビブに置いていた。でもアメリカのトランプ大統領が「アメリカ大使館をエルサレムに移動させる」と宣言して(そして実際に移動させて)、世界各国から避難があったのは記憶に新しいね・・・。