2015年9月25日金曜日

「しんがり 山一證券 最後の12人」を読んで


しんがり 山一證券 最後の12人 を読んだ。

山一の事件が起こったのは自分が大学生だったころだと思う。自分の記憶に残っていることは、自主廃業時に野澤社長が記者会見で「社員には責任はありません!悪いのは経営者です!」と号泣しながら叫んだあの記者会見と、「簿外債務」「飛ばし」といった断片のキーワードだけだった。

この本には、山一が自主廃業を決め号泣会見に至るまで、そしてその後の会社の清算業務や不正の調査のチームの奮闘の経緯が非常に臨場感たっぷりに描写されている。読んでいるうちに自分の表面的な記憶の裏側がどんどん繋がっていく面白さがあった。

会社組織は簡単に腐っていく、そして後戻りできなくなる。その中で現れてくる人間の心理と行動模様が読んでいて非常に面白かった。もう自主廃業が確定しているのに、野澤社長がホントのことが周りに言えず、中途半端に情報開示して、その場をやりきろうとする弱さ。自分も野澤社長の立場であればそういう行動をしてしまうのかもしれない。反面教師としてきちんと心に留めておきたい。