2013年4月6日土曜日

約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯

映画「約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」を見た。

約50年前に起きた、三重県名張市葛尾地区の公民館で起きた毒物混入事件。その犯人とされ、死刑が確定した奥西勝死刑囚が無罪を訴え続けて再審請求を繰り返す。そのドキュメンタリー映画だ。

「名張毒ぶどう酒事件」は、たまに新聞などで目にしていたけれど、どんな事件か、なにを争っているのかなど知らなかったし興味もあまりなかった。この映画を見て事件のなにが問題なのかを知った。多くの人にこの映画が見られるべきだと思う。まずは事件について知ること。それが大事だ。この映画はそれに最適だと思う。

もちろん僕には、奥西勝死刑囚が犯人なのかそれとも冤罪なのかの真実はわからない。

ただ、この映画を見て司法が機能不全になってしまっているように感じた。死刑判決が自白に依拠し、その自白の矛盾を再審請求で証拠をあげて証明しているのに、それを却下する裁判所。却下の正当性は(少なくとも映画のなかでは)見つけられなかった。日本の司法はこんなものなのか、本当にそうなら失望を禁じえない。

時間が経過すればするほど事態は硬直する。奥西を犯人と信じこむことで自らを無理矢理納得させ、事件は終わったものとしてしまっている事件の当事者たち。判例が積み重ねられていくごとに、過去の先輩判事の判例を覆せなくなっていく裁判官とその縦社会。

でもこれらを解きほぐすことは不可能ではないと信じたい。奥西勝死刑囚が生きている間に、公正な判断が下されることを願いたい。




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